「Hello! インディー」 同じページも仕掛けも2度と使い回さない、9年間かけて作られた『RPGタイム!~ライトの伝説~』開発者インタビュー。

  • この記事をシェアする

一冊のノートに描き上げたRPG、『RPGタイム!~ライトの伝説~』が本日配信されました。

この記事では本作の開発者である「デスクワークス」さんに、開発の経緯やこだわりについて聞いてみました。

『RPGタイム!~ライトの伝説~』ってどんなゲーム?という方は、こちらの記事をご覧ください。

同じページは使い回さない。200ページ1枚1枚すべてが手描き

デスクワークス
「プログラムが少し書けるプランナー」と「絵が少し描けるプランナー」の2人が中心の日本のインディーゲーム開発チームです。

デスクワークスさん、こんにちは!
さっそくですが、本作は
2人でおよそ9年間かけて開発されたと聞いています。

はい、長い年月がかかりましたが、ようやく完成して配信することができました。
そもそもこのゲームは「ゲームクリエイターになりたい少年が、手作りしたゲーム」というテーマを体験してもらうために作ったんです。
そこで放課後の教室というシチュエーションをベースに、楽しさとリアリティを兼ね備えた表現にこだわりました。

むかし机によく落書きしていたこと思い出します。

特に大変だった部分はどのあたりでしょうか?

登場するシーンすべてが手描きでどのページも使い回していない所でしょうか。
ページをめくるたびに新しい楽しさに出会ってほしい、という想いで200ページ以上に渡る全ステージを、1枚1枚、手書きで描いていきました。

全ステージすべてが手描き!?

はい、そうなんです。
さらに、キャラクターにアニメーションもつけていくのですが、最初は自分が鉛筆で書いた絵が動くだけで楽しくて。そこで、キャラクターだけでなく背景などもすべてアニメーションを入れることにしました。結果、作業量が爆発的に増えてしまい大変でした

例えば漫画の一コマ一コマについて、線が動いているのですが、これは単純に3回同じコマの画を描いて連続再生して、ウニョウニョと動くように見せているんです。

例えばこんな漫画シーンの一コマに対しても

それぞれ3枚ずつの画が用意されています。

他にも、背景全体を動かすケースもあり、その場合はページ全体を3枚ずつ書いています。

ステージ全体が動くシーンでは、

背景全体の画が3枚ずつ手描きで用意されています。

ちなみに、一番登場する主人公の勇者ライトは、ノートの中で約3000枚は描いたかと思いますよ!

ライトの様々なアニメーションも、すべて手描きです。

想像しただけで、気が遠くなる作業ですね……。
なかでも特に苦労したシーンなどはありますか?

冒頭のお城のシーンでしょうか。見開きで兵士やらモンスターやら、いろんなものがダイナミックに動くんです。細かい隅々まで、手書きで描き上げているのが伝わるかと思います。

描きこみの細かさに圧倒される、プロローグの見開きシーン。これはぜひ一度直接見てみてほしい!

同じネタも使い回さない。アイデアは子供の頃の遊びから

本作はページごとに遊び方が異なっていることにも驚きました。

今回は、同じネタ(仕掛けやギミック)を使い回さないことにもこだわっていました。全ページでバラバラの遊び方を用意しているんです。

相当多くのネタが必要だったかと思います。どこからネタを集めていたのでしょうか?

各アイデアの根本は、子供の頃に体験してきた遊びの数々です。自分がこのゲームを作ろうと思った9年前から、ネタ帳に書き溜め続けてきました。
例えば、地面に棒で○×ゲームを描いて遊んだ経験や、ものさしや下敷きをこすって静電気で遊んだ経験、サイコロや迷路を作って友達に遊んでもらった経験を、デジタルな遊びとしてゲームに取り入れてみました。

ダンジョンでいきなり○×ゲーム!

ものさしをこすると……?

昔、ノートにすごろくや迷路をよく描きましたよね~。

他にも、「いつどこでだれがなにをしたゲーム」ってご存知ですか?子供の頃に流行っていた言葉遊びで、「いつ」「どこで」「だれが」「なにをした」を紙に書き、ランダムに選んで短文を作るゲームです。これが大好きで、取り入れたのが「必殺技スロット」です。

必殺技の決めゼリフが、3つの言葉の組合せで決まります。言葉はそれぞれ16通りずつあり、4096通りの必殺技が生まれます。

どのネタも、自分が子供の頃を思い出させてくれて、懐かしいんですよね。

まだインターネットも普及していない頃から、文化や地域で変化しながら代々受け継がれて来たアナログな面白さは、磨き抜かれた一級品ばかりだと改めて凄さを感じました。それをデジタルのゲームで再現するだけではなく、本作ならではのアイデアや、テレビゲームだからこそできる表現で、新しい体験にできればと思いネタを厳選してします。

膨大なネタの中から厳選されたのが、本作のミニゲームたちです。

「ケンタくん」という存在

そしてなんといっても「ケンタくん」です。敵も味方も、一人全役をこなして、次から次へとプレイヤーをもてなしてくれます。

ゲームクリエイターを目指すケンタくんにとって、ゲーム中のプレイヤーは同じクラスの友達であり、初めて自分が作ったゲームを遊んでもらう特別なお客さんでもあるんです。

本当に一人の友人と遊んでいるような感覚になってくるんですよね。
開発のお二人にとっては、どういう存在でしたか?

自分たちの持つ技術や知識や時間をすべて注いで誕生したケンタくんは、一緒にゲームを作った仲間のような…友達のような…息子のような…先生のような…。
上手く表現できませんが、とっても大切で特別な存在です。

「説明書ダンジョン」 で登場するケンタくんのプロフィールカード。こちらからオリジナルのプロフィールカードを作成することもできます。

ケンタくんは、具体的な誰かや、自分自身をもとにして生まれたのではなくて、小学校時代に出会った個性豊かなクラスメートたちが凝縮されているんです。
だから皆さんにとっても、絵がうまい友達、おしゃべりが面白い友達、運動が得意な友達、勉強ができる友達、クラスをまとめるのがうまい友達、とっても優しい友達、そんな小学校時代のヒーロー達を思い出せる存在になったんじゃないかなと思います。

開発初期に描いたケンタくんと遊ぶイメージ画。最初はケンタくんと向かい合ってプレイすることを想定していたが、実際のゲームでは右隣りに座る形になった。

最後に、読者のみなさんへひとことお願いします。

本作には、みなさんが子供の頃にノートや身近な文房具を使って教室で遊んだ体験がきっとたくさん詰まってます。とはいえ、大人だけでなく若い方々にも楽しんでもらえる作品だと思っています。というのも先日、小学生のお子さんに遊んでいただいたときに出てきた感想が「懐かしい」だったんです。

現役小学生にとっても懐かしい!?

僕らにとっては、10年、20年前が懐かしい感覚だと思うのですが、彼らにとっては1、2年前が懐かしかったのかもしれません。大人にとっても子供にとっても、懐かしくもやりごたえのある体験に仕上がっていますので、ぜひケンタくんと最後のエンディングページまでお付き合いいただけたら幸いです!

デスクワークスさん、ありがとうございました。
『RPGタイム!~ライトの伝説~』は、本日発売ですので、お楽しみに!

それではみなさん、よいインディーライフを!

ニンテンドーSwitch

    ©DeskWorks / Aniplex

    edited by : Indie World 担当
    • この記事をシェアする
    特に記載の無い場合、記事内の記載の価格はすべて税込です。また、パッケージ版のみの販売となるソフトは希望小売価格、それ以外のソフトはニンテンドーeショップでの販売価格となります。
    セール価格については、セール期間中の価格になります。
    製品の価格は変更になる場合があります。最新の購入価格はマイニンテンドーストア/ニンテンドーeショップでの価格を必ずご確認ください。
    この記事のほかにも、こんな記事があります。