開発者が語る『Ever Oasis』の世界 Vol.8 本日発売!

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みなさん、こんにちは。
『Ever Oasis』 、プロデューサー兼ディレクターの株式会社グレッゾ石井浩一です。

ついに、本日7月13日(木)『Ever Oasis 精霊とタネビトの蜃気楼』が発売となりました! 多くの方に手にとっていただき、楽しんでもらえると嬉しいです。
さて今回は『Ever Oasis』のキャラクターデザインを担当いただいた、しずまよしのりさんから、キャラクターデザインについて、語っていただきました。

キャラクターデザインについてしずまさんにインタビュー

しずま よしのりさん
イラストレーター。ゲームやアニメ、小説のイラストなどで活躍中。

『Ever Oasis』のキャラクターデザインをすることになった経緯は?

元々別のタイトルで石井さんと一緒にやっていたことがあるのですが、そのときに絵作りに対する感性が石井さんと近かったということもあって今回『Ever Oasis』の絵作り、キャラクター作りをお手伝いするようになりました。

『Ever Oasis』で担当した部分は?

主人公、イスナ、光のスカラベ、タネビト・ケモビトたち…といったキャラクターのデザインを主に手がけました。

図:光のスカラベ

あとは一部のハナミセやアソビバナ、武器などもデザインしています。

図:しずまよしのりさんのデザイン(それぞれクリックで拡大)

一番好きなキャラクターは?

イスナです。

自分で言うのもなんですが、水の精霊なので、水で形成された尾ひれをつけて人魚のように見せつつ、誰が見ても分かり易いデザインになったかな~と思っています。

イスナはどのようにデザインを決めていった?

初期は水の龍みたいなデザインでした。
オアシスの成長とリンクして大きくなっていくといった感じで。

図:水の龍だった頃のデザイン案

そこから議論を重ねていく中で、女の子にしようということになり、いくつかのデザインを経て今の形になりました。

図:水の精霊の女の子のデザイン案。色んな方向性が検討されました

一番描くのが難しかったキャラクターは?

セルケ族ですかね。
石井さんから「さそりベースのキャラ、描いて」といわれたときは、無茶振り来た!と思いました(笑)

砂漠で象徴的な生物なので挑戦しがいがありました!
キャラクターに落とし込むにあたり、さそり本来のハサミを顔の前にもってきて口のように表現してみました。
デザインでうまく落とし込むために試行錯誤していたのでお気に入りのキャラです。

普段絵を描くときに心がけていること

見てくれた方に、キャラクター達が何をしているのか、すぐ伝わるように心がけて描いています。あとは光の表現と…とにかく可愛く!ということですね!

『Ever Oasis』発売にあたって一言

『Ever Oasis』では人間ではないキャラクターばかりだったので結構大変なところもありましたが楽しく描かせてもらいました。
ハナミセや武器などもこの世界ならではの面白い絵に仕上がっていると思いますので、是非ゲームを通して見てみてください。

イスナのデザイン変遷

こうして並べてみると、イスナのデザインの変遷が分かっておもしろいですね。
しずまさんにも語っていただいたとおり、イスナは、最初「龍」のような形だったのですが、主人公のパートナーとしてより思い入れを持ちやすいように、人型のキャラにすることにしました。
(龍は神秘的なイメージが強く、主人公と同じ立ち位置というよりは、上位にいる存在に感じてしまうのでは、という懸念がありました。)

ただ、「Ever Oasisの世界には、人間はいない」という点は大事にしたかったので、人間には見えない人型のキャラ…ということで模索を続けて、今のイスナが生まれました

イスナは、年齢的には主人公よりもややお姉さんにあたるのですが、生まれてから一度も大樹の子とは出会えておらず、泉でずっとひとりぼっちでした。主人公が彼女にとっての、最初のパートナーです。つまりオアシス作りに関しては主人公と同じ、全くの新米精霊なのです。

図:泉でひとりぼっちのイスナ

主人公と一緒にオアシスを発展させていく中で、イスナもまた、主人公とともに一緒に考え、悩み、成長していきます。ゲーム中では是非、そんな彼女の姿にも注目してみてください。

開発を振り返って

本日いよいよ『Ever Oasis』が発売する…ということで、これまでの開発を振り返ってみました。

そもそも、開発当初は、集落だけで遊べるコンパクトなゲームにしようと考えていました。
ただ、この世界の中で、生命力を感じさせるキャラクター達が集まるイメージをふくらましているうちに、ただ生活空間を広げるものではなく、自分達の生活環境である集落を「作る、育てる、守る」ことで、集落に対しての愛着が持てるようにしたいと思いました。
また、オアシスの存在を強く実感するには、オアシスの内側からの目線だけではなく、外側からの目線も必要だと感じ、このオアシスを拠点として様々な表情を持つ砂漠を冒険できるようにしました。

その結果、当初の構想を遥かに超えたボリュームに仕上がったのですが、その分みなさんにもじっくり時間をかけて、『Ever Oasis』の世界に浸って頂くことができるのではないかと思います。

図:開発当初のコンセプト画

本作では「オアシスのみんなを幸せにする」という部分を大切にしていて、「砂漠で冒険してさえいればいい」というゲームにはしたくありませんでした。そのため、「オアシスの経営」と「砂漠の冒険」という2つの要素のバランスをとるのには、時間をかけました。
仕様としてロジカルにまとまっていたとしても、実際にゲームを組み立ててみるとオアシスの経営と冒険の探索は融合しにくいものでした。実際に遊んで分かりにくいところや、うれしさが感じられないところ、達成感の有無、プレイしたときのリズム、サイクルのバランスなどそれぞれがうまくかみ合わないと面白さが実感できませんでしたが、少しずつ克服していきました。イメージしたゲームの面白さの落とし込みの小さな積み上げが、最後まで課題だったと思います。
「オアシスのことを気にしながら冒険に出ている」という実感を、是非味わって欲しいです。

図:砂漠から見たオアシスのラフイメージ

また、登場人物との交流にも力を入れて作りました。
台詞として語られていなくても、ナカマたちはそれぞれが「オアシスを大事にしたい」という気持ちを持っています。そして、オアシスを守るという経験を通して自分がやるべきことに気づいていきます。自分の気持ちだけを大事にするのではなく、自分が大切にしたい人(物)のために何ができるのかを考えられるようになっていく…そんな、キャラクターたちの心の成長を、オアシスを通じて感じてもらえたらうれしく思います。

任天堂さんの担当スタッフの方々と一緒に思考しながら組み立てていったので、操作性、レベルデザイン、ユーザーインターフェイスなどの任天堂イズムがしみこんだゲームになっていると思いますし、グレッゾらしさや、私が開発してきた作品のニオイも感じていただけたらと思っています。

多くの方に『Ever Oasis』の世界を楽しんでいただければ幸いです。

図:しずまさん描き下ろし! 発売記念イラスト

では、また次回お会いしましょう。

4コマ:ヴィストラーダの日常⑦「イスナとスカラベ」

紹介映像(2017年6月28日公開)

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