「Hello! インディー」第20回 横スクならぬ下スクロールアクション『Downwell』

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Hello! SOEJIMAです。
さっそくですが、今日は『Downwell』というゲームをご紹介します。

井戸(well)に落ちて(down)いくゲームです。

このゲームは、井戸の中をひたすら下へ下へ落ちていく、横スクロール、じゃなくて下スクロールの2Dアクションゲーム。
プレイヤーにできることは左右の移動とジャンプ、そして主人公が履く「ガンブーツ」の操作のみ、と至ってシンプル。ガンブーツによって、プレイヤーはジャンプ中に下方向に弾を発射できます。そして、このガンブーツが奥深いんです。

プレイヤーは敵からダメージを受けないように、落下しながら進むのですが、
・敵を弾で倒すのにもガンブーツ、
・ブロックを弾で壊すのもガンブーツ、
・落下スピードを和らげるのもガンブーツ、
というように、このガンブーツ一つが複数の機能を担っています。

敵を弾で撃ったり、落下の重力に弾の反動で逆らったり。

そして、ガンブーツには撃てる弾数に制限があるのもポイント。
弾数をリロード(補充)するには一度着地をする、もしくは敵を上から踏む必要があります。

最初はもう、とにかく難しい
落下の速度に反応が追い付かなければ、弾のリロードを忘れていて敵にぶつかりまくり。
ステージもランダム生成なので、覚えて降りていけばよいわけでもないし、HPもたった4だけ、と非常にハードな設定。まるで昔のアーケードゲーム。
着地せず敵を倒していくと「コンボ」が発生し、ボーナスも得られますが……コンボなんて続かない、無理!

ステージ3では、水中で酸素が必要だったり。

ステージ4では足場がほとんどなかったり。

でもリトライするうちに、ガンブーツの使い方が指にしみ込んできます。
弾の反動で落下速度をおさえながら、慎重に足場を選んで降りられるようになり、敵の動きのパターンも徐々に見えてくるようになります。

段々とこのスピード感にも慣れて、敵が踏めるようになると、……無理だと思っていたコンボも狙えるようになってくるから驚き

最初は10コンボも出来ないのですが、やりこんでくるとコンボがつながるようになってくる!

「敵を踏むべきか、弾で撃つべきか?はたまた着地してしまうか?」という、コンボを通じた駆け引きに、より一層引き込まれていきますよ。なにより、このガンブーツ、撃ってるだけで気持ちよくて、操作性抜群!
ただし、とにかく難しいので心して挑んでください。ラスボスまで行って倒されても、もちろん最初から。これで何度心が折れそうになったか。

そして最後のエンディングでは、なぜ主人公は井戸を降りてきたのか? の理由が描かれているのですが……これはクリアしてからのお楽しみに。

ぜひ最後までチャレンジしてみてくださいね。(ここまで来るのにどれだけかかったか……)

制作者に聞いてみよう

さて今日はそんな『Downwell』の開発者もっぴんさんに聞きました。

もっぴん:学生時代にゲーム開発を始め、個人開発者として『Downwell』を開発。

もっぴんさん、お久しぶりです!
まずは『Downwell』を作ったきっかけを教えてください。

元々、ゲーム開発の勉強として毎週1本小さなゲームを作って試してみる、ということを行っていました。
13週くらい続けて作ったあたりで「下方向に進んでいく」アイデアが出てきました。
加えて、操作についてはボタン3つだけでできるゲームのアイデアを模索していました。
左右移動とジャンプボタンと用意すると、それで3つ使ってしまうので、ジャンプボタンに攻撃要素を持たせる必要が出てきたんです。二段ジャンプやヒップドロップなど色々試行錯誤した結果、下方向に弾を撃つ仕様に行きつき「ガンブーツ」が生まれました。これが『Downwell』のスタートになりました。

毎週作っていたときのほかのゲーム。『Downwell』とは全然違いますね。

ボタン3つだけという制約がガンブーツを産んだんですね。
開発で一番大変だったことはなんでしょう?

下方向に進む方針は決まっていたのですが、ゲーム全体の方向性をどうするかとても悩みました。例えば、撃てる弾を無限にするか有限にするかとか、ステージをランダム生成にしようか、もしくは自分でステージを全て作成していく方向にしようかとか。
色々と試した結果、最終的に今のランダム生成の形に落ち着きました。自分は個人開発でしたので、レベルデザインの負担が軽減できる方を選んだんです。ランダム生成だとゲームが自動的にステージを作ってくれますからね。
でも個人開発に近い規模でも、『Celeste』の開発者さんみたいに職人技でレベルデザインしている人もいて凄いなと……あ、『Celeste』最高でした。

ガンブーツが生まれる前の、下に落ちるだけのゲームだったときから、今の形になるまで。2016年にはGDCで講演もされてます!

そこは確かに大きな分かれ道でしたね。そして『Celeste』のステージは本当に凄かった……。そういえば、もっぴんさんは凄いゲーマーですよね。
ほかにもおすすめインディーゲームはありますか?

最近だと、『Slay the Spire』ですね。
僕は昔からカードゲームが大好きでした。小さい頃から今に至るまで、遊戯王やマジック・ザ・ギャザリングなどをちょこちょこ触ってきました。カードゲームって相手ありきだと思っていたんですが、『Slay the Spireはそういう対人のカードゲームの面白さを凝縮しつつ、コンピューター相手に1人で何度も楽しめるように成立しているのが凄いなと思いました。

Switchのインディーゲームをすごく推してくれて、なんかやらせみたいだ……。

もちろんNintendo Switch以外でも遊んでますよ! ほかのプラットフォームのゲームでいうと、『Spelunky』や『Nuclear Throne』というゲームにめちゃくちゃハマりました。実は『Downwell』が一番影響を受けたタイトルはこの2つなんです。もともと毎週ゲームを作っていたのも『Nuclear Throne』の開発スタジオ「Vlambeer」のゲームデザイナーの方の記事がきっかけでした。
また開発環境として「GameMaker Studio」というゲームエンジン(※)を使ったのも彼らの影響でしたね。僕みたいな開発経験のない素人でもゲームを作ることができたのは、ほんとこういうツールのおかげですね。

※ゲームエンジン:ゲームを開発する際に必要な技術が詰め込まれた、汎用的なゲーム開発環境のこと。ゲームエンジンのおかげで、小規模な開発チームでもゲーム開発がしやすくなってきているんですね。代表的なものには「Unity」や「Unreal Engine」などがあります。

次作は考えていますか?

こういうゲームを作りたいってアイデアはいくつかあって、試作をスタートしていますよ。またお見せできるタイミングになったらアナウンスしたいです。

それは楽しみです、続報を待っていますね。それでは、最後に一言お願いします!

僕は幼少期に初めてスーパーファミコンに触れてから今まで、ずっと任天堂にお世話になってきたので、自分の作ったゲームが任天堂のゲーム機で出るのだと思うとすごく感慨深いです。
『Downwell』はじっくりも遊べますが、ちょっとした時間にちょこっとだけでも遊びやすいゲームだと思うので、持ち運びできるNintendo Switchとは相性がいいゲームだと思います。もうすでに触ったことがある方もそうでない方も、これを機にぜひ遊んでみてくださいね。

ちなみにSwitch版では、縦画面でもプレイ可能!

もっぴんさん、ありがとうございました。
『Downwell』は本日発売になりますので、みなさんもよかったらぜひプレイしてみてください。

それではみなさん、よいインディーライフを!

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edited by : SOEJIMA・BOKU
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