2019.6.11
Nintendo Switch  Indie World

「Hello! インディー」第26回 物語の行方は、あなたのカクテル次第『VA-11 Hall-A ヴァルハラ』

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Hello! SOEJIMAです。

今回は、お客さんにカクテルを提供することでストーリーが進んでいく『VA-11 Hall-A ヴァルハラ』を紹介します。このゲーム、ベネズエラの開発者の方が作られたんです。後半には開発者インタビューもありますのでお楽しみに。

 

まずは「Indie World 2018.12.27」で紹介した映像をご覧下さい。

バー「VA-11 Hall-A」へようこそ

本作は、207X年の都市グリッチシティを舞台にした、サイバーパンク(※)テキストアドベンチャーゲームです。

このゲームの主人公「ジル」は、バー「VA-11 Hall-A」でバーテンダーとして働いています。…ただし、この街の治安は最悪にして最凶。

腐敗した政府と大企業が牛耳るこの街において、「VA-11 Hall-A」は言わば、コンクリート砂漠の小さなオアシス。

様々な困難や悩みを抱えた人々が、今日も「VA-11 Hall-A」へやってきます。

主人公のジルと、バー「VA-11 Hall-A」

※サイバーパンクとは、SF(サイエンス・フィクション)のサブジャンルのひとつ。人体改造や仮想空間など、高度に発展した未来の社会が描かれることが多いです。

物語の行方は、あなたのカクテル次第

あなたはジルとして、お客さんにカクテルを提供します。

カクテル名を指定した注文もあれば、甘いカクテル、苦いカクテル、など好みだけの注文、中には「いつもの」という注文もあります。

そして、このゲームでは、注文通りのカクテルも提供できるし、そうでない見当はずれのカクテルも提供できるんです。そして提供したカクテル次第で、お客さんの心は時に開かれることもあれば、閉ざされることもあり……それによって会話や、物語も少しずつ変化していくのがポイント。

アルコール(=カルモトリン)の度数を上げて、お客さんを酔いやすくできる。
それによって本音が聞けたり、聞けなかったり。

個性豊かな訪問客たちの、その人間味

バーに現れるお客さんは、みな個性豊かです。実況者や、ヒューマノイド、犬、時には脳みそも。

はっきり言ってまともなキャラがいないんです(いい意味で)。

中には、口を開けば際どい発言ばかりのキャラクターもいます。このあたりは、好き嫌いが分かれるかもしれませんので、ご注意ください。

際どい発言ばかりの「すとり~みんぐチャン」と「ドロシー」。

このお客さんが現れたときは笑った。

ゲームの舞台は主にバーの中で、バーテンダーとお客さんとの会話がこのゲームのメイン。それなのに飽きさせないのは、登場するお客さん一人一人のキャラやストーリーがしっかり作りこまれていて、セリフに人間味があるからではないでしょうか。

カクテルを通して聞き出す彼らの悩みや本音こそ、このゲームの魅力。

カップル?が来たり

なんだか面倒な客も来ます

結構鋭いことを言ってくる客もいたり

主人公であるジル自身も、多くの問題を抱えています。

そして、彼女がなぜバーテンダーになったのか? これも本作のストーリーで重要なカギとなってきます。彼らとの対話を通じて、自らの過去と向き合いながら成長していく様子も見どころ。

プレイした後に誰かのセリフが心に残る、そんな粋なテキストアドベンチャーです。

興味を持たれた方は、ぜひ手に取ってみてください。

制作者に聞いてみよう

今回は『VA-11 Hall-A ヴァルハラ』の開発者、SukebanGamesのフェルナンドさんに聞きました。

SukebanGames:フェルナンドさんを含む4名で構成。設立2014「年。ベネズエラに拠点を置く。『VA-11 Hall-A ヴァルハラ』が初のタイトル。

 

こんにちはフェルナンドさん。まずゲームの話をお伺いする前に…

聞くところによると、フェルナンドさんは日本のアニメオタクらしいですね。

日本の人もあまり知らないようなアニメをいっぱい見てきましたよ。

ベネズエラでは日本の有名なアニメよりも、少しニッチなアニメがよく放送されていたんですよね。

どういうものをよく見ていたのでしょうか?

「コレクターユイ」や「ドッとKONIちゃん」、「サイボーグクロちゃん」などを見ていましたね。

そういうアニメをきっかけに、どんどん日本の文化に触れるようになっていきました。

そして日本のゲームにも触れるようになり、ゲーム開発を始めるようになりました。

……自分も全然知らないアニメばかりです。

では、『VA-11 Hall-A ヴァルハラ』を作ることになるきっかけはなんだったのでしょうか?

もともと「サイバーパンクジャム」というサイバーパンクをテーマにしたゲームジャムがきっかけでした。

他の参加チームは、主人公がハッカーやヒーローという、ありきたりな設定が多かったんです。でも周りとは違う切り口にしたかったので、従来は脇役や裏方として描かれることが多い「バーテンダー」を主役にしてみようと考えたんです。

主役はあくまで地味なバーテンダーです。

たしか、もともとお酒に興味があったわけではなかったんですよね。

はい、ベネズエラではあまりお酒を飲んだことが無かったんです。

そもそもベネズエラでは治安が悪く、外ではお酒が飲めなかったんですよね。

日本に来て驚いたのは、ガラス張りのバーですね。ベネズエラでは割られてしまいますよ。

……なるほど、そういう背景があったんですね。

でも映画の設定などでバーが使われることがあり、それを見て興味を持っていました。

バーテンダーと客との会話を通じて、外の世界が少しずつ明らかになっていく……というシステムが、面白そうだと思ったんです。

提供するカクテルによって、物語が少しずつ変わるのも新鮮でした。

最初は、言われた通りのカクテルを作るゲームでしたが、「お客さんの好みを理解してカクテルを作る」のがバーテンダーらしくていいなと思い、変更したんです。

たしかに「いつもの」って言われて、カクテルを提供できたときには、なんだか本当のバーテンダーになった気分になれました。

「人生は辛くとも、明日がある」

全体のストーリーはどのように作られましたか?

ストーリーの背景には、ベネズエラでの実体験が反映されています。自国で経験した出来事を、アレンジしてストーリーに落とし込んでいますが……事実よりもマイルドに描いていますよ。

ゲーム内のスマートフォンには、何かを訴えかけるようなニュースが流れてきます。

これが事実よりマイルドというのが、何とも言えないですね。

全キャラクターに共通したテーマなどはあったりするのでしょうか?

革命を起こしたりするヒーローばかりが、ゲームでは描かれがちですが、みながそれに同意しているわけではないんです。そういう革命やヒーローがいいと思わない人たちもたくさん見てきました。日々一生懸命に生きている、目立たない市民やその暮らしに光を当てたものを描きたかったんです。

この絶望的な世界に生きる彼らは、それぞれに困難な人生を抱えています。自分の置かれている現実をあきらめているようで、でもどこかで希望を持ち続けながら日々を送っている。「人生は辛くとも、明日がある」というのが、全員に共通する一つのテーマになっています。

「一日を変え、一生を変えるカクテルを」に込められていた希望

そういうお話を聞くと、またゲーム中のセリフが違った聞こえ方になってきますね……。

さて、次作『N1RV Ann-A(ニルヴァーナ)』はどういうストーリーになるのでしょうか?

『VA-11 Hall-A ヴァルハラ』では、比較的貧しいキャラクターが多く登場していました。

次作では「富裕層」にスポットライトを当てています。近未来でバブリーに暮らしているお金持ちが主人公です。彼らにも日々の暮らしや等身大の悩みがあります。彼らがどういう心情で生活を送っているのかを、次のキャラクターたちでは実験したいと思ってます。

次の作品もとても楽しみにしています。

最後に日本のユーザーに向けて一言お願いします。

自分のゲームが、任天堂のゲーム機で遊んでもらえるというのはとても感慨深いです。Nintendo Switchはこういうストーリー重視のゲームが向いていると思っています。

ぜひ日本のみなさんにも、リラックスして楽しんでもらいたいです。

みなさん、準備はできましたか?

フェルナンドさん、ありがとうございました。

 

それではみなさん、よいインディーライフを!

ちなみにNintendo Switch版では、Joy-Conを振ってカクテルを作れる機能がついてます。まるでシェイカーを振っているような感覚を味わえる…!?(※見えてないけどちゃんとストラップつけてます)

© SUKEBAN GAMES All Rights reserved. Published by Ysbryd Games, Active Gaming Media Inc.

edited by : SOEJIMA・BOKU
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