「Hello! インディー」第31回 記憶を書きかえることで、人の願いを叶えられるとしたら。『To the Moon』

  • この記事をシェアする

もし、記憶を書きかえることで、人の願いを叶えられるとしたら?

Hello SOEJIMAです。
今日紹介する『To the Moon』は近未来を舞台とした、ある老人の記憶をたどる物語です。

とある老人の最期の願い、それは、月に行くこと

主人公は2人の医者。彼らは少し奇妙な仕事に就いている。
それは最期を迎える患者の願いを、記憶の中で叶えてあげること。
彼らはある装置を通じて、患者の記憶を書きかえることができる。

今回の依頼主は、とある崖際の一軒家に住む老人「ジョニー」。
しかし2人が到着したとき、すでに彼は昏睡状態にあった。
そして、知らされた最期の願いは「月に行きたい」というものであった。

二人は世話係(リリー)から、その依頼を知らされる。

しかし、ジョニーが月に行きたい理由は誰もわからなかった。
2人はジョニーの真意を探るべく、彼の記憶へ潜り込むことに。

ただし、ジョニーの余命は残りわずか。
命が絶えるとき、記憶も全て消え去ってしまう。
2人は限られた時間の中で依頼を遂行すべく、ジョニーの記憶をたどっていく。

なぜ、ジョニーは「月に行きたい」のか?

ゲーム自体はとてもシンプルで、会話主体で進行するアドベンチャーです。
2人の医者の視点から、あなたは物語を体験することになります。

舞台は主にジョニーの記憶の中になります。ここでは「記憶の欠片」を集めることで、より深い記憶へたどれるようになります。
これを繰り返しながら、ジョニーの真意を探っていきます。

大切な思い出の品「メメント」を通じて、より深い記憶にさかのぼります。

ポイントは、なぜジョニーは「月に行きたい」のか?
その鍵となるのが、亡くした最愛の妻「リヴァー」の存在です。
リヴァーとの思い出を追体験していく中で、徐々に夫婦の心がすれ違ってきたことに気付きます。

なぜリヴァーは「ウサギ」の折り紙を作り続けるのか、ジョニーは理解できなかった。

なぜ、ジョニーとリヴァーはすれ違ってしまったのか?
そして、リヴァーが最期に願っていたことは?
過去へ過去へとジョニーの人生をさかのぼるにつれて、明かされていく夫婦の物語に引き込まれていきます。

これは感動の物語、それとも・・・

感動的なストーリーとして、終盤に向けて展開していくのですが……
いざゲームを終えてみると、感動とはまた別の感情が心に残りました。

最期の願いだから、叶えてあげたい。
でも、それは「記憶を書きかえて」叶えられる願いなのです。
当人にとっては幸せかもしれないが、残された人々はどう受け止めるのか。
もし、その記憶の中に自分が居なかったとしたら……。

改めて、冒頭の問いを考えてみます。
もし、記憶を書きかえることで、人の願いを叶えられるとしたら
あなたは、大切な人の最期の願いを叶えてあげたいですか?

ゲームというよりも映画に近い印象でした。ボリュームも3~4時間程度と短めです。
表現こそドット絵ですが、強いストーリーがプレイヤーの想像をかき立ててくれます。
また、日本語翻訳が一から見直されており、物語に入り込みやすくなっています。
そしてなにより、サウンドの力が素晴らしかったです。ぜひヘッドフォンをつけてプレイしてほしいですね。


それではみなさん、よいインディーライフを。

© 2020 X.D. Network Inc. All rights reserved.

edited by : SOEJIMA・BOKU
  • この記事をシェアする
この記事のほかにも、こんな記事があります。