開発者が語る『Ever Oasis』の世界 Vol.2

  • この記事をシェアする

みなさん、こんにちは。
『Ever Oasis』 、プロデューサー兼ディレクターの株式会社グレッゾ石井浩一です。

先日の「Nintendo Direct 2017.4.13」での公開後、みなさんから沢山のコメントをいただけて大変うれしく感じています。中でも、「主人公の少年や、水の精霊イスナが可愛い」、「(私が抱えていた)『ペンクロウ』のぬいぐるみが欲しい」、など、キャラクターについて沢山の反応をいただきました。ありがとうございます。

図:3Dプリンターで作っちゃいました。(※amiibo ではありません)

そこで 今回は、タネビトである主人公、水の精霊イスナ、そして謎の訪問者ペンクロウといった“キャラクター”について、ご紹介したいと思います。

『Ever Oasis』を制作するにあたり、キャラクターデザインは「しずま よしのり」さんにお願いしました。
その経緯については、またいずれトピックスで扱わせていただくかもしれませんが、今回はどんなことを考えて、今のキャラクターたちになっていったかをお話ししたいと思います。

主人公について

『Ever Oasis』は、大切なナカマたちと、互いに支え合う物語です。自分だけで何でもできるキャラクターにはしたくありませんでした。

ですので、主人公は強い風を起こす「風魔法」という特別な力を持っている一方で、攻撃の相性が悪い敵もいますし、ナカマの協力がなければ進めない仕掛けもたくさんあります。レベルアップすると使えるようになるバトル用のアクティブスキルも、敵に大ダメージを与える攻撃スキルではなく、ナカマの力を引き出すサポートスキルにしています。

図:主人公(男)トトのデザインと、開発中のラフ

主人公の種族「タネビト」は、植物から着想しました。

砂漠には水がないので、植物にとってはきびしい環境です。そんな中でも成長しようとする植物の生命力に、私は強い意志を感じました。最初はちいさな種であっても、成長し、花を咲かせてまわりを笑顔にする力を持っているところも、植物の素晴らしい点だと思います。そんな植物のタネを擬人化したらどうかと考え、生まれたのがタネビトです。

なお、公開した映像などに登場している主人公は「タネビトの男の子」ですが、実はゲームを開始する時に、「タネビトの女の子」を選ぶこともできます。主人公の姿として好きな性別を選んで、ゲームを遊んでください。(目や肌の色を選ぶこともできますよ)

図:主人公(女)テテのデザイン

水の精霊イスナについて

私は昔から、世界と精霊の関係性を描くことが好きで、精霊は物語を作る上で、切っても切れない存在です。『Ever Oasis』の世界である「ヴィストラーダ」は、砂漠の世界。なのに、なぜ水の精霊なのかと感じるかもしれませんが、砂漠の世界だからこそ、水は貴重であり、水が集まっている場所はパワースポットとなります。小さく淡い光の妖精と比較すると、水の精霊は(特定の相手にだけですが)姿が見えるほどの存在となっています。

水の精霊イスナは、主人公と同じ目線で、共に喜び、悩み、支え合うもう一人の主人公と言える存在です。オアシスを一緒に育てるパートナーであり、イスナは主人公がなしとげたことを、自分のことのように一緒に喜び、頑張りをほめてくれます。

イスナは共感できるキャラクターになるように最大の注意を払いました。主人公と一緒に、物語を進めていく上で、彼女はどんなことを思うだろう、どんなことを話すだろう。そんなことを考えながら、イスナの台詞の調整は、開発の終盤まで続きました。イスナが主人公にとってだけでなく、プレイヤーにとっても良きパートナーと感じてもらえればと願っています。

なぞの訪問者ペンクロウについて

ペンクロウはオアシスには居つかない、なぞの訪問者です。『Ever Oasis』のマスコット的な存在で、オアシスを訪れて、ハナミセでいろいろなものを買って帰っていきます。

「ペンギン」と「フクロウ」を混ぜたようなデザインですが、なぜペンギンとフクロウかと言われると、これは直感です。私の考えるマスコットキャラは、いつもそういう感じで生まれます。イメージをしずまさんに伝えると、完璧と言って良いほどのペンクロウのラフをあげていただけたので、あっさりとデザインが確定したキャラクターです。

図:ペンクロウのラフデザイン。(ほぼ最終デザインですね)

ペンクロウは言葉を話すことができませんが、ペンクロウ同士では会話が成立しています。フクロウのように単独で行動もできますが、数匹集まるとペンギンのように本能的に集団で行動します。また物欲が強く、衝動的に買い物をしてしまいます。大きなオアシスを作ることができれば、ハナミセを目当てに、たくさんのペンクロウたちが行列を作ってオアシスを訪れることでしょう。

ペンクロウたちはオアシスに居つかず、砂漠に住んでいるのですが、巣は誰にも見つけられていないようです……。巣の存在を知られないように、月食の時にどこかに隠されている入り口から地上に出てきて放浪しています。砂漠で行き倒れた旅人が、朝になると治療された状態で目を覚ますことがあり、これは神のおかげだという旅人もいるものの、たいていはペンクロウが集団で巣に運んで手当てをした後に、安全な場所に寝かせてくれています。

今回より『Ever Oasis』の世界を知っていただけるよう、4コマ漫画を作ってみましたので、こちらも是非ご覧ください。

4コマ:ヴィストラーダの日常①「長のおしごと」

では、また次回お会いしましょう。

© 2017 Nintendo / Grezzo

この記事のほかにも、こんな記事があります。