あざやかに復活した『ポケットモンスター 金・銀』! 数々の名場面や今だからこそ語れる話が満載! 時を経ても新鮮な「面白さ」の本質に迫る![Vol.2]

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僕は今ジョウト地方からカントー地方へ向かう高速船アクア号の中にいます。しーーーっ! 大声で話しかけるのはやめてください。カントー地方のクチバシティへ向かう『ポケモン 金・銀』の主人公に、僕の存在がバレてしまうじゃないですか。ジョウト地方のチャンピオンになった主人公が、カントー地方でどんな冒険をくり広げるのか、僕は潜入取材をしているのです。
おや、船酔いをしている人がいます。この光景、かつて乗った豪華客船サント・アンヌ号でも見かけたような…。あのときは確か船長が……。

はっ

ニンテンドー3DSバーチャルコンソール『ポケットモンスター 金・銀』があまりにも面白くて、ゲームの世界へ完全に入り込んでしまいました。
改めまして、こんにちは! ポケモン公式ガイドブック著者の元宮秀介です。[Vol.1]では、『ポケモン 金・銀』のジョウト地方の冒険の見どころを振り返りました。今回は、カントー地方での冒険の面白さを語っていきます。

『ポケットモンスター』は、ゲームのジャンルで分類すると、RPG(ロールプレイングゲーム)になります。オリジナルの『ポケモン 金・銀』が発売された1999年は、RPGが大ブームでした。それらの多くは、エンディング後のお楽しみを用意していたものでした。
しかし、『ポケモン 金・銀』の殿堂入り後のお楽しみは、桁外れでした。何しろ『ポケモン 赤・緑・青・ピカチュウ』の舞台であるカントー地方を訪れ、再び冒険できるのですから! しかも『ポケモン 赤・緑・青・ピカチュウ』の物語から3年が経っていて、おなじみのカントー地方にも様々な変化が起きています。この変化の付け方が絶妙なのです。

『ポケモン 金・銀』カントー地方の私的名場面ベスト5

私的名場面1
トラップが壊れているクチバシティジム

『ポケモン 金・銀』の主人公は、カントー地方でもポケモンジムに挑戦していきます。その最初となるのが、クチバシティジムです。
大切なことなので、もう一度言います。

最初に挑戦するジムは、クチバシティジムである。

ここに隠された壮大な仕掛けに気づきましたか? 1999年当時の僕にはわかりませんでした(笑)。攻略本を読んで、やっとその仕掛けの見事さがわかり、膝を打ちました。

『ポケモン 赤・緑・青・ピカチュウ』のクチバシティジムは、中盤の3つ目のジムでした。『ポケモン 金・銀』でカントー地方をめぐるルートは、『ポケモン 赤・緑・青・ピカチュウ』と大きく異なるのです。『ポケモン 赤・緑・青・ピカチュウ』では、マサラタウンから冒険に出発します。『ポケモン 金・銀』では、クチバシティから出発するのです。

「冒険の中盤に訪れるジム」から、「カントー地方で最初に訪れるジム」に役割が変わったクチバシティジムは、中身が一変しています。ジムのトラップが壊れているので、謎を解かずに、ジムリーダーのマチスに挑戦できるのです。
最初に訪れるジムとして、難易度を低めに再構築しているのだと思います。

私的名場面2
カスミのデート

断言します。『ポケモン 金・銀』を遊んだ男性ファンは、このシーンで必ずショックを受けます。なぜなら僕らのアイドル、ハナダシティジムリーダーのカスミが、ジムを留守にして、岬で男の人とデートをしているからです!!
あまりに辛すぎる現実です…。

話しかけると、カスミは怒り出します。

「もう! なによ いきなり あらわれてっ! あんたのこと なんていうか しってる!? オジャマムシ って いうのよ!」

大人になった今ではわかります。大切な人との大切な時間を邪魔されたら、誰だって怒りますよね。
カスミが偉いのは、この後の展開です。ひとしきり文句を言うと、ハナダシティジムに戻り、主人公の挑戦を受けるのです。立派なジムリーダーといえるでしょう。

私的名場面3
セキチクシティジムリーダーは父から娘へ

『ポケモン 金・銀』でめぐるカントー地方は、『ポケモン 赤・緑・青・ピカチュウ』から3年が経っている、と書きました。時間の経過を感じさせる要素はいくつかあるのですが、その最たるものはセキチクシティジムのジムリーダーの交代でしょう。

「あたいが ホンモノ! セキチク ジムの アンズよ!」

セキチクシティジムリーダーだったキョウは、四天王になっています。その後を娘であるアンズが受け継いでいるのです。
アンズは、キョウと比べてどれくらい強いのだろうか? そんな好奇心を抱きながら挑戦すると、ポケモン勝負もいっそう面白くなりますよ。

私的名場面4
グレンジムを守り続けるカツラ

言葉を失います。グレンタウンは1年前の噴火によって、そのほとんどがなくなってしまっているのですから……。しかし、グレンジムは健在です。ジムリーダーのカツラは、近くにあるふたごじまの小さな小さな洞窟を利用し、たった1人でグレンジムを運営し続けているのです。訪れてくるポケモントレーナーの挑戦を受けて立つために!

カツラは叫びます。

「うおおーいっ! グレンに あった わしの ジムが きえて なくなった! ほのお ポケモンを あやつる わしの ジムが かざんに やかれて しまった!」
「うおおーいっ! だが わしは この どうくつで リーダーの つとめを はたしている!」

主人公に負けた後のカツラの態度も、また見事です。

「こんかいは わしの まけだが グレン ジムを つくり なおして つぎこそは かつ! いつか また たたかおう! わしの ほのお ポケモンを パワーアップ させるぞ!」

カツラは、どんな目にあっても不屈の魂を燃やし続けている。そんな言葉すら思い浮かびます。

私的名場面5
レッドとの邂逅

『ポケモン 金・銀』の本当のクライマックスは、シロガネやまの山頂でポケモントレーナーのレッドとのポケモン勝負に勝つことです。

レッドは何も語りません。

「…… …… …… …… …… …… …… …… …… ……」

なぜ何も語らないのでしょうか。
僕はレッドの沈黙をこのように解釈しています。
レッドは「かつての自分」だ
『ポケモン 赤・緑・青・ピカチュウ』でカントー地方のチャンピオンになった主人公なのだ、と僕は感じました。つまり自分がプレイをして、冒険をしたキャラクターなのです。『ポケットモンスター』シリーズでは、主人公はしゃべりません。だから、かつての主人公だったレッドは、無口を貫いているのです。

こう言い換えることもできます。
この勝負はかつての自分との戦いだ。
3年の間で自分は成長できているのだろうか。
これは自分の生き方が問われるポケモン勝負である。

レッドとのポケモン勝負が異様に厳しく、異様に辛いことに驚いた人も多いと思いますが、僕はこのように捉えています。
うん、ポケモンは本当に奥が深い。

……今回の連載も、ここで終われると、ビシっと決まります。ですが、前回の記事で読者の方々から好評だった!?アレをやらずにはいられないでしょう。そうです。「細かすぎる私的名場面」です!

細かすぎる私的名場面ベスト2

細かすぎる私的名場面1
「きんのたま」をくれるおじさん初登場!

「きんのたま」は、フレンドリィショップで売ると、5000円になる貴重などうぐです。
この貴重などうぐを意味深なセリフとともにくれるおじさんは、『ポケモン 金・銀』で初登場を果たしました。
主人公に「きんのたま」をくれます。余計な言葉もくれます。

「それは おじさんの きんのたま! ゆうこうに かつようして くれ!」

このセリフが意味することは、言い換えれば「おじさんが所有している『きんのたま』を君に譲る。だから冒険に有効に活用してほしい」と温かな言葉になります。おじさんも、なんだか紳士のように見えてきますが、やはり気持ち悪いですよね…。
しかし、この気持ち悪さが次第に人気を博してきたのか、『ポケットモンスター』シリーズの新作が出るたびに、「きんのたま」をくれるおじさんのセリフに注目する人が増えていったのです。

ところで、「きんのたま」をくれるおじさんは、『ポケモン サン・ムーン』(2016年)では出番がありませんでした。
『ポケモン ウルトラサン・ウルトラムーン』では復活しているのでしょうか。注目のポイントです!

細かすぎる私的名場面2
タケシの「てもち」が増えている!

『ポケモン 赤・緑』でジムリーダーのタケシの「てもち」ポケモンは、イシツブテとイワークの2匹だけでした。ニビシティジムが最初に訪れるジムだからでしょう。その配慮はありがたいのですが、2匹では少しさびしい気がします。
しかし、『ポケモン 金・銀』ではニビシティジムは終盤に訪れるためか、タケシの「てもち」は5匹に増えています。やったね、タケシ!


そして、今回も最後にマニアックなクイズがありますよ。あなたのポケモンマニア度を問うクイズです。

【クイズ 1】
 『ポケモン 金・銀』でのレッドの「てもち」のポケモンは6匹です。そのうち、3匹はフシギバナ、リザードン、カメックスですが、残りの3匹のポケモンを当ててください!

【クイズ 2】
 『ポケモン サン・ムーン』でバトルツリーを初めて訪れたときに戦うレッドの「てもち」は、どれが本物でしょうか? 3つの中から1つを選んでください。


  1. ピカチュウ、カイリュー、ヤドラン、ピジョン、コダック、コラッタ
  2. ピカチュウ、メタモン、ポリゴン、フシギバナ、リザードン、カメックス
  3. ピカチュウ、ラプラス、カビゴン、フシギバナ、リザードン、カメックス


次回は「『ポケモン 金・銀』とテクノロジー」について深く語ります。また、近いうちに!

[Vol.1]のマニアッククイズの答え
【クイズ1】月曜日
【クイズ2】火曜日と木曜日
【クイズ3】金曜日

©1995,1999 Nintendo/Creatures inc./GAME FREAK inc.
©2017 Pokémon. ©1995-2017 Nintendo/Creatures Inc. /GAME FREAK inc.
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※画面は開発中のものです。

edited by : 元宮秀介(ワンナップ) 

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